動機
 川崎平右衛門は、不毛の台地だった武蔵野の新田開発を現場の指揮官として成功させた功労者である。
 新田開発の拠点は南(小金井市)と北(鶴ヶ島市)にあり、幕府から新田開発の命を受けた平右衛門は、府中押立村の実家を弟に譲り、陣屋の近くに居を移した。すなわち新田開発の約10年間、平右衛門は小金井市に拠点に生活していたことになる。
 新田開発の前に平右衛門は飢饉にあえぐ農民を救うため現在の小金井市東町4丁目に栗林を作り、将軍吉宗に栗を献上した。これが後に新田開発を命じられる縁となった。小金井栗の始まりでもある。また新田開発中に玉川上水の土手に桜を植樹し、それが名勝小金井桜になった。
 しかし、小金井桜と小金井の栗については知っているが、それらを創った川崎平右衛門については名前さえ知らない小金井市民が多い。自分が住む街の基礎を創った恩人のことをほとんどの市民が知らないのは、誠に残念なことであり、啓蒙とともにさらに積極的に観光などのまちおこしに活かすべきだと考えた。ところが、驚いたことに小金井公園近くにあった陣屋跡の案内板が消えてしまった!
 シニアSOHO小金井では、こうした状況を残念に思い、2004年から有志が川崎平右衛門の史跡を訪ねたり、府中郷土の森で開催された「川崎平右衛門についての講演会」などに参加して川崎平右衛門について学習し、ホームページ作りや市民への呼びかけなどで啓蒙活動を行ってきた。
川崎平右衛門銅像 川崎平右衛門講演会
2009年2月8日と22日に府中郷土の森で開催された川崎平右衛門の講演会をみんなで聴講した。
プロジェクトの経過
 小金井市は、NPO法人が多く、それらの交流の場としてNPO法人連絡会があり(2003年発足)、協働を推進している。毎年、NPO法人連絡会の主催や市民協働センター準備室などとの共催でNPO間の交流とNPOの市民への啓蒙のお祭りをしてきた。
 2010年3月14日に開催された協働フェスタに於いてシニアSOHO小金井の大橋元明 代表理事(当時)がNPO現代座木下美智子氏に川崎平右衛門の演劇つくりとまちおこしを一緒にやらないかと打診した。同年4月10日に現代座において最初の話し合いが持たれ、「川崎平右衛門プロジェクト」(プロジェクトリーダー:塚田善久)が立ち上がり、以後ほぼ毎月1回川崎平衛門や演劇について学習してきた。
 木野主計國學院大名誉教授による古文書を読み解きながらの講義、現代座の木村快 代表から演劇についての講義もあり、回を重ねるごとに川崎平右衛門の偉大さがわかり、現代でも川崎平右衛門から学ぶことが多いことを知った。
川崎平右衛門プロジェクト勉強会1  川崎平右衛門プロジェクト勉強会2
2010年11月29日、川崎平右衛門の史蹟(真蔵院、海岸寺、妙法寺、観音寺、龍光寺)を訪ねた。 川崎平右衛門史蹟めぐり海岸寺  川崎平右衛門史蹟めぐり観音寺  川崎平右衛門のお墓の前で
海岸寺                観音寺                龍光寺・川崎平右衛門の墓地前で
朗読劇「武蔵野台地の夜明け 川崎平右衛門」の公演
2011年8月に小金井市立第3小学校PTAの「おはなしかいカラフル」からNPO現代座に第3小60周年記念イベントへの出演依頼があり、「川崎右平衛門プロジェクト」で朗読劇のオリジナル台本を作り、2011年11月19日にNPO現代座による小金井市立第三小学校60周年記念の特別公演を行った。  公演は、お子様にも父兄にも大好評であった。
 今後、この朗読劇を舞台劇に発展させる計画が持ち上がり、この朗読劇の観賞と川崎平右衛門を題材にしたまちおこしに関する懇談会を2012年2月4日(土)に開催した。
朗読劇「武蔵野台地の夜明け 川崎平右衛門」の公演                  講演後の懇談会
三小60周年記念特別公演 2011年11月19日    懇談会 現代座  2012年2月4日
合唱構成劇 「武蔵野のうたが聞こえる」の公演
(大橋元明)